緊急事態宣言で建設業に大打撃?いま見直したいファクタリングによる資金調達
【記事更新 】
2021/03/22
緊急事態宣言によって事業に大きな支障が生じた業界として飲食サービス業がよく取り上げられていますが、実際には様々な業界で大打撃を受けています。
建設業はその代表例で、かなり厳しい経営状況になって経営を維持するのが困難になっていることすらあります。
緊急事態宣言は建設業に何をもたらしたのでしょうか。
この記事では建設業を取り巻く状況について概説し、経営再建のために重要な資金調達方法としてファクタリングの価値を再考します。
緊急事態宣言下、建設業が受けた打撃とは
緊急事態宣言が建設業に何を引き起こしたのかをまずは確認していきます。
どのような形で打撃を受けてしまい、経営の維持が困難な状況が生じているのでしょうか。
工事そのもののキャンセル
緊急事態宣言によって予定されていた工事のキャンセルが相次ぎました。
工事そのものがキャンセルされてしまうと、売り上げが発生しないことは当然です。
しかし前金などとして一部を先に受け取っていたとしても、それ以上の金額の建材や重機などを調達したり、建設に必要な数の人材を確保したり、社内対応が難しい作業内容の外部委託をしたりしているケースが多々あります。
工事がキャンセルになるとこのような調達や委託の契約もキャンセルしなければなりません。
工期の順延
工事が予定されていた際にキャンセルにならずとも、開始していた工事の工期が順延になったケースも多々あります。
緊急事態宣言が発令されたから解除されるまで延ばしたいというのが典型的なパターンです。
しかし、解除されてももう少し延期したいと言われ、何度も先延ばしになったケースがあります。
その対応のためには準備した資材の保管が必要になるだけでなく、人材確保や外部委託、機器のレンタルなどのスケジュールも見直さなければなりません。
このような順延のケースではコストがかさむため、赤字の建設工事になっていることすらあります。
資材等の納品がない
建設業にとって致命傷になったのが資材などの納品の問題です。
順延になる原因ともなるのが資材等の納品が期日に間に合わないトラブルです。
緊急事態宣言下では各社の生産が低下し、物流も滞りました。
その影響で必要な資材が手に入らず、建設会社側から工事の時期をずらしたり、延ばしたりする申し出をしなければならなかったケースもあります。
その補償のためのコストもかかることから資金的に苦しくなってしまいます。
建設計画の中止や延期
直近の工事だけでなく長らく計画を進めていた建設計画の中止や延期も起こりました。
大きな資金が入ることを見越して社内整備をしたり、必要な人材の採用を進めたりしていたケースでは特に大打撃です。
延期の場合でも雇用した人材の給料を払うだけで苦しくなります。
中止の場合には調達していた資材などのコストによる出費もあります。
中止によって売り上げがないとわかると次の受注を目指す必要がありますが、緊急事態宣言の影響でなかなか依頼も手に入れられずに厳しい状況に陥ってしまうのです。
施工主・取引先の倒産
緊急事態宣言の影響を受けて施工主や取引先の倒産も発生しています。
施工主が倒産しては工事を始めていたとしても支払いを受けられません。
取引先が倒産すると予定していた工事に必要な資材を調達できないなどのトラブルが発生します。
結果として普段よりも高コストで資材を用意しなければならない、調達できずに延期せざるを得ないといったことになり、厳しい経営状況が生まれてしまっています。
資金繰りが逼迫する建設業で起こり得ること
このような緊急事態宣言の影響によって生じた問題は、建設業における売り上げの減少につながっています。
資金繰りが逼迫する状況になってしまうのは明らかですが、その結果として何が起こり得るのでしょうか。
資金繰りの逼迫により起こりうること | さらなる問題 |
---|---|
人件費の支払い遅延 |
●社員の士気低下 ●離職者がでる可能性大 |
買掛金の支払い遅延 | ●今後の取引に大きな支障 |
受注減による資金繰りの悪化 | ●資金繰りができず倒産 |
事務所家賃等の支払い遅れ |
●事務所の立ち退き ●税金の滞納 ●事業継続が困難になる |
人件費の支払い遅延
売り上げが減ってしまうと支払いができなくなるのは当然です。
建設に携わる人材の人件費の支払いが遅れてしまうのが資金繰りに問題が生じたときに起こる問題として筆頭に上がります。
人件費の支払いが遅れると信用が失われ、社員の士気も低下します。離職者が出るだけでなく、労使問題に発展することもある危険な状況です。
買掛金の支払い遅延
資金繰りが逼迫すると買掛金の支払いの遅延も起こらざるを得ません。
資材の調達をしていたけれど工期が延びて支払いを受けられないといったときによくあるトラブルです。
取引先も緊急事態宣言のせいで厳しい状況下にある場合が多く、今後の取引に大きな支障を生じるリスクがあります。
受注減による資金繰りの悪化
受注が減ったことにより売り上げが減り、さらに資金繰りが悪くなっていく悪循環が生じていくのも大きな問題です。
資材調達ができないなどのトラブルを起こすと受注は減ってしまい、負のスパイラルから抜け出すことができません。
緊急事態宣言の影響で建設しようという動き自体があまり起こらなくなっているため、厳しい状況に拍車がかかります。
その結果として資金繰りができずに倒産に向かっていくケースも見受けられています。
事務所家賃等の支払い遅れ
資金が不足するようになると支払いの遅れはあらゆるところで生じるようになっていきます。
借りている事務所の家賃すらも支払うのが難しくなる場合もあるでしょう。
税金を納められない、水道光熱費を支払えないといったこともあり得ます。
このような状況に陥るときにはもはや現金の持ち合わせがなくて火の車になっているのが一般的です。
事務所の立ち退きも求められ、会社としての信用も失い、事業を継続するのは困難になってしまいます。
建設業が今こそ使いたいファクタリングとは?
資金繰りの問題が浮上した際には速やかに資金調達をして正常化を目指すのが大切です。
その手段としてファクタリングを再考してみましょう。
ファクタリングとは売掛債権の売却による資金調達の方法です。
建設業では工事請負契約を締結して工事の依頼を受け、期日になったら工事を行って納品し、入金を受けるというのが一般的になっています。
工事請負契約書は売掛債権があることを示す証拠書類なので、ファクタリングに利用することが可能です。
ファクタリングは最短即日で現金に換えられるのが特徴で、売掛先の信用度が高ければ高く買い取ってもらえます。
審査では自社の信用よりも売掛先の業績や経営状態が重視されるのが特徴で、多額の融資を受けていても利用可能です。
巨額の契約をして工事を行う建設業ではファクタリングが効果的な資金調達方法です。
手形割引との違い
ファクタリングは手形割引に似ているとよく言われています。
手形割引は売掛債権ではなく約束手形や為替手形を使って資金を調達する方法です。
この二つは即日での対応をしてもらえる現金調達法という点では類似しています。
しかし、約束手形の場合には融資に近い形で運用されてきた影響で、貸金業法や銀行法の適用を受けます。
審査の際には手形割引を依頼した企業の信用調査も行われるので注意が必要です。
また、償還請求権が設定されているため、もし不渡りが起こってしまったときには買い戻さなければなりません。
社会情勢を考えると取引先が倒産するリスクもあるため、償還請求権の設定がなくて売掛金が不渡りになっても責任を取る必要がないファクタリングの方が安心して利用できます。
緊急事態宣言下でのキャンセルや延期は致命的な打撃になり得ますが、ファクタリングによる資金調達をすれば資金繰りを改善可能です。
工事請負契約書はファクタリングに使えるので、資金繰りで悩んだときには積極的にファクタリングを活用しましょう。