【創業者必見】運転資金の目安はどのくらい?いくらあれば安心?足りないときの資金調達方法も解説
【記事更新 】
2024/12/03
事業経営における運転資金問題は、経営者の永遠のテーマと言えるでしょう。利益を出していても倒産してしまうケースが後を絶たないのは、運転資金の確保と管理が適切でないことが主な原因です。
黒字倒産の実に8割以上が運転資金の枯渇によるものだと報告されており、特に創業から5年以内の企業における倒産の9割以上が運転資金の問題に起因しているといわれています。
開業時からの適切な運転資金管理が事業継続の鍵となります。では、運転資金はどのくらいあれば安心なのでしょうか。今回の記事では、運転資金の目安から調達方法まで紹介していきます。
運転資金の基本的な役割と重要性
事業継続に必要不可欠な資金として運転資金が挙げられます。運転資金が枯渇した会社は事業継続が困難となり、最悪の場合、倒産に至るリスクがあります。
中小企業経営者を対象とした調査では、運転資金の不足による倒産リスクを実感している経営者が実に97%に上ることが判明しています。社長が担う重要な役割として、運転資金管理は最優先事項といえるでしょう。
会社の資金のうちどこまでが運転資金なのか
売掛金と在庫金額を合算し、買掛金を差し引いた金額が運転資金の基本的な計算式となります。日々発生する経費支払いや給与支払い、仕入れ代金支払いなどを賄う資金です。
売上金の入金時期と支払いのタイミングにずれが生じることで、運転資金の不足に陥るリスクが高まります。売掛金回収までの平均期間は業種により30日から120日とばらつきがあり、この期間の運転資金をいかに確保するかが経営の重要課題です。
事業規模の拡大期には売上増加に比例して運転資金の需要も増加します。売上が前年比150%に増加した場合、運転資金も同程度の増加が必要となるケースが一般的です。
急激な成長期における運転資金不足は、経営者にとって頭痛の種です。資金繰りの悪化から取引先との関係悪化を招き、最悪の場合は事業継続が困難となる可能性があります。
運転資金の不足による経営リスク
売上が好調でも、運転資金が不足することで経営が行き詰まるケースは少なくありません。黒字倒産の約8割が運転資金不足ともいわれています。
資金不足により取引先への支払いが遅延すると信用の低下を招き、取引停止などの事態に発展するリスクが高まります。取引先との関係悪化は連鎖的に発生する傾向があり、一度の支払い遅延が複数の取引先との関係悪化を招くことも少なくありません。
金融機関の融資に対する姿勢も厳格化する可能性が高く、資金調達がさらに難しくなるという負のスパイラルに陥りやすい状況になります。
運転資金の管理の重要性
社長個人の生活費と事業資金は明確に区分しなければなりません。定期的に各種帳簿を確認し、入出金の予定を把握することで、運転資金の適正な管理が可能となります。
月次での資金繰り管理に加え、四半期ごと、年間ごとの収支予測見直しも重要なポイントです。特に季節変動の大きい業種では、繁忙期と閑散期の運転資金需要の差が大きくなるため、長期的なスパンでの資金繰り計画の策定が求められます。
運転資金の適正額と算出方法
創業時における運転資金の適正額は、業界や事業規模によって異なります。
一般的に、創業から黒字化までの平均期間は6ヶ月です。しかし業種別の分析では、小売業で5.2ヶ月、サービス業で6.8ヶ月、製造業で7.5ヶ月と、黒字化までの期間に差が見られます。
自社の業種の特性を考慮して、運転資金を確保することが大切です。
創業時に必要な運転資金の目安
創業時における運転資金の目安は、最低でも6ヶ月分とされています。開業から黒字化までの期間を乗り切るための資金確保が重要です。
金融機関からの融資可能額は、月商3ヶ月分が一般的な目安となります。事業規模や業種により必要額は変動しますが、初期投資額の30%程度を運転資金として確保しておきましょう。
特に季節性の高い業種では、閑散期の運転資金を多めに確保することが課題となります。
業種別の運転資金算出方法
基本的な算出方法として、売掛金と在庫金額の合計から買掛金を差し引く方式があります。また、月商3ヶ月分を基準とする方法も広く採用されています。その他、事業計画に基づく必要経費を積算する方法も有効です。
業界平均値との比較により、自社の運転資金がどのくらい必要か検証することも重要です。同業他社と比較することでも、運転資金の効率性を評価することができるでしょう。
創業時の運転資金の過不足判断基準
創業6ヶ月が経過した時点で事業が軌道に乗っていない場合、運転資金が不足する可能性があり、事業計画の見直しが必要となります。単月黒字化までの累計赤字額を基準として、過不足を判断することも重要です。
また、月次の資金繰り表を作成し、3ヶ月先までの収支予測を行うことで、運転資金の過不足を事前に把握することができます。資金繰り表の作成にあたっては、売上の季節変動や取引先の支払いサイト、固定費の支払時期などを考慮してみてください。
運転資金が足りない場合の資金調達の方法
金融機関からの融資活用やファクタリング(売掛金の売却)など、複数の資金調達手段があります。
状況に応じた最適な方法を選択することが重要です。
日本政策金融公庫からの融資を活用
日本政策金融公庫による創業融資では、運転資金の融資は月商3~6ヶ月分が上限です。融資審査では、事業計画の綿密な作成がポイントとなります。自己資金をどのくらい準備しているかが、融資可能額に大きく影響します。
創業融資の審査では、事業の実現可能性や市場性、経営者の資質なども重要な判断要素です。特に創業時の運転資金については、黒字化までの期間を見据えた資金計画の策定が求められます。
補助金制度の利用
返済不要な補助金制度も、有効な資金調達手段です。国や自治体が提供する創業支援制度を積極的に活用することをおすすめします。
補助金獲得には審査基準に合致した事業計画策定が求められます。補助金申請では、事業の新規性や地域経済への貢献度、雇用創出効果なども重要な審査ポイントです。
補助金制度は毎年内容が更新されるため、最新の情報収集と早めの準備が必要です。
ファクタリングを活用
売掛金を売却し、最短即日で現金化できる金融サービスとしてファクタリングがあります。信用情報に影響を与えることなく、借入とは異なる形での資金調達が可能です。
一般的に、ファクタリングは取引先に知られることなく契約できる2者間契約と、手数料を抑えて利用できる3者間契約から形態を選択できます。運転資金の一時的な不足を補う手段として有効です。
なお、継続的な利用には手数料の負担を考慮した判断が必要です。一般的には、急な資金需要への対応や、季節性の高い事業における資金繰り対策として活用を検討されます。
創業時における運転資金確保のポイント
事業開始時における運転資金確保は経営の生命線であり、適切な資金計画策定が求められます。創業時の資金計画では、予期せぬ支出や売上計画の未達を考慮して余裕を持つことが重要です。
事業計画と資金計画の整合性に注意する
必要資金と調達する金額を一致させることが重要です。収支予測に基づき、適切な運転資金を算出してみましょう。精度の高い売上予測を行うことが大切です。
事業計画を立てる際は、業界の特性や市場動向、競合の有無などを総合的に分析し、実現可能性の高い計画を立案することが重要です。特に運転資金計画については、売上サイクルや支払いサイトを考慮した現実的な資金繰り計画の策定が求められます。
自己資金をしっかりと貯める
創業融資において、自己資金は重要な要素です。金融機関からの評価向上に影響してきます。自己資金は単なる資金的な裏付けだけでなく、経営者の事業に対する熱意や覚悟を示す指標としても重要視されるからです。
一般的に、総事業費の30%程度の自己資金があることが望ましいとされていますが、業種や事業規模により必要額は変動します。
経費の節約で資金繰り悪化を防ぐ
固定費の抑制は、健全な資金繰りに役立ちます。売上が思ったように伸びない場合でもかかってくるため、いかに安く抑えるかは事業の継続を左右するポイントです。
経費の抑制と売上確保のバランスを管理することも重要です。創業初期は特に固定費を減らすことが重要なため、黒字化までの期間を見据え計画的に投資してみましょう。
ワイズコーポレーションでは、最短即日でのファクタリングサービスを提供しています。運転資金確保でお困りの際は、お気軽にご相談ください。経験豊富なスタッフが親身に対応し、事業の成長段階や必要な資金額に応じて最適なプランをご提案いたします。