【経営者と資金繰り】コツと万が一の対処法を資金繰り支援のプロが解説
【記事更新 】
2021/01/11
資金繰りをうまく行っていくのは安定した経営をするために欠かせません。
しかし、経営者の誰もが資金繰りを正しく理解し、実践しているわけではないのも確かです。ここでは資金繰り支援を行ってきたプロの立場から、資金繰りのコツをわかりやすく解説します。
もし資金繰りで失敗したときにもできる対処法を紹介するのでいざというときに役に立てて下さい。
社長、黒字だからと安心していませんか?
収支を見て黒字経営ができているのを見ると特に資金面は問題ないと思うかもしれません。
確かに全体の収支だけを見ると上手に経営できていると考えられますが、現場で見ると資金が不足して苦労している場合もあります。資金回収の遅れなどのトラブルは帳簿上では見えないことも多く、実は資金が既にギリギリの状況に陥っている可能性もあるでしょう。
設備や人材などに投資したときにもまとまった出費になってしまうため、現場では資金が足りずに困っている場合もあります。このような状況ではわずかな営業利益の低下によって倒産するリスクもあるので注意が必要です。
資金繰りは赤字経営のときに必要なものというのは誤解で、実は黒字経営のときにも取り組む必要があります。
資金繰りのコツ
経営者の視点から資金繰りを徹底して行えるようにするにはコツがあります。
基本的には今後の資金不足を予測して対処するのが資金繰りです。そのために押さえておくべきポイントが以下の3つです。
これらの準備をしておけばきっと早い段階で資金不足になるリスクを察知し、早めに打開策を練ることができます。
資金繰りのコツ | 対応方法 |
---|---|
前月の繰越金額を把握する | 前月の繰り越し金額を確認する |
資金繰り 資金調達の方法を持っておく |
銀行で融資をうける ファクタリングなど 短期間で資金調達ができる方法を知る |
経営計画を明確にまとめておく |
管理者は安定して成長を続けられる計画を たてることに専念する |
現場と経営者間の情報共有を徹底する | 定期的にミーティングを行い、 現場の状況を把握する |
前月の繰越金額を把握する
資金繰りが悪化していることを把握するには前月の繰越金額を確認する習慣を作るのがまず基本です。
繰越金額が減っているのであれば短期的な視点では赤字になっています。売掛債権があるけれど、現金の資金が減っている場合もあるでしょう。
この場合には黒字のまま手持ち資金は減ってしまっています。給料の支払いのように現金ですぐに払わなければならない支出に堪えられなくなっているとトラブルになります。
繰越金額を見てこれからどのくらいは安心して経営できるのかを考えるのが大切です。
資金繰り・資金調達の方法を持っておく
資金不足に陥ったときにも速やかに資金繰りのアクションを起こせれば当面は問題ありません。
資金調達の方法はできるだけたくさんの選択肢を持っていると局面に応じた柔軟な対応ができます。
銀行で融資を受ける他にもファクタリングなどの短期間で資金調達ができる方法もあります。
予め専門会社とコンタクトを持っておくと万が一のときにもスムーズに手続きを進めることが可能です。急ぎの対応が必要なときを想定して連絡先を確保しておきましょう。
経営計画を明確にまとめておく
経営者としては責任を持って経営計画をまとめておき、対処可能な状態を作るのが重要です。
現場のことは従業員に任せ、経営者は安定して成長を続けられるように経営計画を担当するのが基本です。経営計画を明確に整えて、何をいつ行うのかをわかりやすくしておきましょう。
そして、資金の状況に応じて計画を見直し、資金繰りに苦労しないようにするのが合理的です。定期的に経営計画を再確認して現状に見合った形で経営を続けていきましょう。
現場と経営者間の情報共有を徹底する
冒頭でも述べたように、帳簿を見て経営者は黒字だと安心していたとしても、現場は資金のやりくりに頭を抱えていることはよくあります。
普段から現場で資金を扱っている経理担当者などと情報共有をして状況を把握するのが大切です。帳簿に数字が出るよりも前に経理担当者、あるいは契約をしている営業担当者などが資金繰りの危うさを把握していることはよくあります。
特に資金繰り悪化のリスクが高いと考えられているときには定期的にミーティングをして状況を報告してもらうのが賢明です。
資金繰り悪化のケース事例
資金繰りが悪いのかどうかは慣れていないと見落とすこともあります。事例を知っているとこのままでは資金繰りが悪くなって経営難になるのではないかと疑えるようになります。
資金繰りの悪化が起こりやすいケースについて具体的に見ておきましょう。
赤字が慢性的に続く
資金繰りが悪化する要因としてよく知られているのが赤字です。一時的な赤字であれば問題がないことも多々ありますが、慢性的に続いてしまっていると資金繰りが悪化する一方です。
赤字になる際には外的要因があるかもしれませんが、すぐに改善しなかった場合には経営がうまくいっていない証拠です。すぐに事業内容を見直し、経営計画を再考して打開策を練らないと赤字が肥大化してしまうリスクが高い状況と考えましょう。
設備投資などによって赤字になる場合もよくありますが、慢性化しているときには経営自体を見直すのが無難です。
急な売上減少
売上が急激に減少した際にも資金繰りが悪化するリスクが高くなります。自社生産の減少だけでなく取引先の経営難などが原因で発生することもあるので普段から気にかけておかなければなりません。
外的要因の場合には取引先の拡充をする必要が生じる場合もあります。売上高は常に確認し、資金繰り悪化を引き起こす事態になっていないかという視点で原因を究明しましょう。
急な売上爆発
売上が爆発的に増加したことによって資金繰りが悪化する場合も珍しくありません。
売上高が増えていると問題ないと誤解しがちですが、売上の増加は仕入れ費用の負担が増えることを意味します。その分尾運転資金を確保できていないと資金繰りが悪化するので注意が必要です。
売掛債権だけが溜まってしまって現金がないという状況で倒産に向かっていく事例もあります。売掛金の支払いを受けられなかったのが原因で一気に資金が苦しくなる場合
もあるので気をつけましょう。
資金繰りが厳しい時の対処法
本当に資金繰りが悪化していて厳しい状況に陥ってしまったときにも打開策はあります。悩んでいても改善することはないので、具体的なアクションを起こすのが重要です。
以下の二つの方法をまず検討してすぐに対処に踏み切りましょう。
取引条件の改善を交渉する
売上に問題がないときには取引先との交渉をして状況改善を試みましょう。単純に費用の交渉をするのではなく、後払いの契約を現金取引にしたり、一部を前金として支払ってもらったりするようにするだけでも手持ちの現金を増やせます。
売掛金を回収できずに困るリスクも低減されるのでまず取り組んでみると良い方法です。
人件費が高くないか洗い出す
資金繰りの改善策として人件費の見直しも効果的です。経営コストの中でも人件費は大きな割合を占めるもので、毎月必ず現金で出ていきます。
緊縮することができれば資金繰りが悪化しても倒産や労使トラブルには至らずに済みます。
わずかな人件費カットでも長期的に見ると資金繰りを大きく改善させられる可能性があります。
人件費が高すぎていないかを個々の従業員単位で見てみたり、業務に不必要なほどに従業員を雇っていないかを確認したりして改善を目指しましょう。
しかし、実際には黒字で売上も伸びているにもかかわらず、経営難に急転してしまっている事例も決して少なくありません。経営者が現場の資金事情を詳しく把握し、安定して事業を進められるように資金繰りをしていきましょう。
いざというときのためにどのようにして資金調達をするかを考えておくのは最も重要な保険です。明日にも資金が足りないというようなときでもファクタリングなら資金調達ができます。
特に売掛債権をいくつも持っている会社では資金調達に使いやすい方法なので、万が一のときの対処法としてすぐにファクタリングを申し込めるように準備しておきましょう。