ファクタリングの審査、どこを見られる?円満買取のためのポイントをファクタリング会社が解説
【記事更新 】
2020/11/09
ファクタリングを利用してみようと考えたときには、審査を通過できるかどうかが不安になりがちです。
ファクタリングの審査基準を満たせるのかどうかを判断するために、この記事では何を見られているのかを紹介します。
ファクタリング会社の立場から買い取れるかどうかを判断するときに用いている基準を簡単に解説するので、申し込む前にチェックしてみましょう。
ファクタリングの審査基準は?
それでは最初に、ファクタリングをするときの審査基準はどのような内容になっているかを重要なものから順番に嚙み砕いて説明します。
細かな点は後にポイントを挙げていくとして、まずはファクタリング会社が売掛債権を買い取るときには欠かせないと考えている3つの基準を確認しておきましょう。
売掛債権の盤石性
ファクタリング会社に買い取ってもらう売掛債権は、いかに堅固なもので確実に債務回収ができるかがまず重視されます。
次に挙げる相手企業の経営状態とも関連がありますが、ファクタリング会社としては売掛金を支払ってもらえなければ利益を生み出すことができません。売掛債権が発生していたとしても、その支払いがないリスクがある場合には買取を断ると判断せざるを得ないのです。
例えば、新たに開発した製品の販売に関わる売掛金だった場合に、クレームがついて返金を求められてしまうリスクが高いようなときには買い取ってもらえる確率が低くなります。
相手企業の経営状態
売掛債権が盤石かどうかを判断する上で重要なのが、相手企業の経営状態です。
売掛先の企業が倒産してしまって債務回収ができなくなってしまうと、ファクタリング会社は大損をします。
そのため「安定経営をしているか」「以前も売掛金の支払いをしていたか」といった点をチェックして、今回の売掛金を必ず払える経営状態で支払う意志もあるなら審査を通す方針を立てます。
逆に経営不振で支払いが滞りそうなときには買い取らないと判断するのが一般的です。
申込者とのコミュニケーション
ファクタリング会社は、申込者自身もよく観察しています。売買契約による取引なので、融資とは違う視点で審査を受けることになるので注意しましょう。
融資の場合には経営状態や与信力が重視されますが、ファクタリングの場合は経営不振で与信力も低かったとしてもファクタリング会社の利益を左右することはほとんどありません。
そのため、重要なのは業務コストがかからないことで、ファクタリング会社とのコミュニケーションがスムーズなことが重視されます。
ファクタリング会社が審査でよくチェックするポイント
ファクタリング会社が審査のときに前提として置くのが上記の3点ですが、もう少し具体的に何を見られるのかを知りたい人も多いでしょう。
ここではファクタリング会社が審査をするときに詳しくチェックするポイントについて掘り下げていきます。
どんな売掛債権を選んだら買い取ってもらえる可能性が高いのかを考える上で重要になるので、じっくりと確認してみて下さい。
売掛債権の実在性
買取の申し込みをした売掛債権が実在するかどうかは、当然チェックします。
売掛債権が存在していないものだったり、既に支払いが終わってしまっていて売掛金の支払いが発生しないただの過去の取引証拠書類になってしまっていたりすると、ファクタリング会社は現金を回収できないからです。
3社間ファクタリングの場合には売掛先に直接確認する場合もありますが、一般的には申込者の取引状況や相手企業の事業などから判断しています。また、書類自体が有効ものかを日付や署名などから確認していくのが通例です。
売掛先企業の与信力
融資の場合と異なり、審査では申込者ではなく売掛先の与信力の調査が行われます。
売掛先企業が売掛金を支払える能力がなければ債務回収の負担がかかり、最悪の場合には回収できなくなってしまうからです。
取り立てにかかるコストは大きいので、誠実に支払いをしてくれる売掛先企業なのかどうかを確認しています。帝国データバンクや法人信用情報などを用いて調査を実施し、確かに支払いが可能な企業だと確信を取ったら買い取るというのが一般的です。
取引の継続性
売掛債権が今回限りのものではなく、過去にも取引が行われてきて類似した債権が生まれているかも審査で確認される重要なポイントです。
取引の継続性があることで、申込者が売掛先に対する義務を果たせることがわかります
また、申込者も売掛先企業が求めている商品やサービスを提供していると考えられるため、その内容の不備によって支払いを断られるようなトラブルが発生するリスクも低くなります。
過去に何度も繰り返されてきた取引なら安心して買い取れると、ファクタリング会社は判断するのです。
申込者の財務諸表など
ファクタリングに申し込むときには、財務諸表などの提出を求められます。審査のときには財務諸表などを確認して経営状態の調査を実施します。
ただ、前述のとおり借り入れをしている金額や与信力の高さなどを確認するのが主な目的ではありません。事業規模がどのくらいあって売掛債権がどの程度発生しているかを見るのが基本です。
また、取引の継続性があるかどうかを判断するための根拠の一つとしても参照されています。融資を受けるときのように経済的な安定性を重視する審査ではないのは念頭に置いておきましょう。
申込者の税金等納付状況
ファクタリングの申し込みのときには、預金通帳の提出を求められるのが一般的です。
預金通帳は、申込者の税金等納付状況を確認するのに用いられています。納税をしたことは預金通帳の取引履歴を見れば明らかなので、書面上納税したことにして脱税していないかどうかもはっきりとわかります。
税金を滞納しているときには審査でやや不利になるのは確かですが、融資のようにほぼ確実に断られるということはありません。納税しているかどうかのチェックはあくまで経済状況を念のため確認する目的
だと考えた方が良いでしょう。滞納しているときでも諦めずに申し込んでみてファクタリング会社がどう判断するかを見てみるのが賢明です。
また、預金通帳からも買い取ってもらおうとしている売掛債権が繰り返し発生していたか、売掛先との継続的な取引があるか、売掛金がきちんと支払われているかどうかといった点がわかります。
【ファクタリングと融資の審査基準の違い】
融資を受ける際の審査基準 | ファクタリングの審査基準 |
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●自社の経営状況が良好か ●申込者本人は信用できる人か ●他社からの借入の有無 ●税金滞納の有無 など |
●売掛先の経営状況は良好か ●売掛先は信用度が高い企業か ●売掛先との継続的な取引があるか ●申込者本人の人柄は良いか |
虚偽申告の有無
ファクタリング会社が審査のときに力を注いでいるのは、虚偽の部分がないかどうかです。
ファクタリングの申し込みのときには、ヒアリングを実施して状況を確認します。その上で売掛債権基本契約書、財務諸表、預金通帳なの提出を求めて内容の照合を行っています。
納税していないのに滞納していないと言っていたり、財務諸表を見ると借り入れの状況が申込者の言っていたことと違っていたりすると、虚偽情報が多い可能性があると考えられて買取を断られるでしょう。
また、売掛先の企業が実在しない、過去に取引があったと申告したのに形跡が全く見られないなどといった場合にも同様です。
ファクタリングは融資ではないため、審査のときに入手できる情報が限られてしまいます。信用できる取引先なのかどうかに不安があるとファクタリング会社としては売掛金を回収できないリスクがあるので買い取りたくないのが本音です。
虚偽の申告が疑われ、信義則に反する行為があるときには、基本的に契約は通らないと思った方が良いでしょう。
ファクタリングは融資ではなくて買取なので、ファクタリング会社としては売掛先から債務回収できることを重視して審査をします。それに加えて申込者が虚偽申告をせず、信用できると判断できたら契約するというのが基本です。
これまでに挙げてきたチェックポイントを一通り確認し、誠実な態度で申し込んで円満買い取りを達成しましょう。