取引先が回収不能!?取るべき行動&資金繰り安定化の方法を解説
【記事更新 】
2021/01/25
取引先から売掛金の回収をしようとしたらできずに途方に暮れてしまうケースがあるのを知っているでしょうか。この資金が入らないと自社も倒産のリスクが生じてしまうような場合には焦って何をすべきかと悩んでしまうでしょう。
このようなときに取るべき行動を具体的に紹介します。資金繰りを安定化させるために重要な対策も解説するので、可能なものから取り入れていきましょう。
取引先が回収不能に!?夜逃げ事例も続発か
取引先に商品を納品したまでは良かったものの、代金を請求しようとしたらもう会社がなかったり、どうしても払えないから待って欲しいからと交渉されたりすることが続発しています。
会社ごと夜逃げしてしまって消息もわからなくなったという事例すら知られていますが、売掛金の回収が不能になってしまうと資金繰りが苦しくなるのは明らかでしょう。
この際にもまだ諦める必要はありません。無理だと思われた場合にも債権を行使すれば資金を回収できる可能性があるので早急に対処しましょう。
取引先から回収を行う方法
支払いができなくなってしまった取引先から資金回収をするときの手順を確認しておきましょう。状況によって適切なやり方には違いがありますが、一般的には以下のような方法で回収を行えます。
回収方法 | 内容 |
---|---|
取引先の調査 |
●決算書の内容を確認 あくまで任意のため断られる場合もあり |
文書による督促 | ●内容証明郵便などを利用する |
商品の引き上げ |
督促をおこなったうえで、契約の解除を申し出る ※商品の販売後には回収不可 ※取引先の承諾なく引き上げも不可 |
差し押さえの執行 | 強制執行をすれば不動産や有価証券、債権などを差し押さえて回収が可能 |
債権譲渡 | 売掛債権を他社に譲渡して金額を回収することが可能 |
取引先の調査
まずは取引先の状況を調査するのが先決です。取引先に本当に支払えるような資産がないのかを確認するのが調査の目的です。
売掛金を支払えないなら理由を説明するように促すのが最初の段階ですが、答えられない場合もあるでしょう。その際には決算書を見せて欲しいと伝えて内容を確認し、資産状況から本当に払えないのかを調べましょう。
ただ、あくまで任意なので断られる場合もあります。その際には企業情報の調査会社を利用して情報を集めることも可能です。
文書による督促
取引先に対して文書による督促を行うことで回収できる場合もあります。請求書を送付しただけでは無視されたとしても、督促まで来てしまうと取引先も対応を考えなければなりません。
内容証明郵便で確実に届くようにすれば言い逃れはできなくなります。本当に支払えない場合にも分割で払わせて欲しいなどと話を切り出してくる可能性もあります。
交渉に応じるかどうかは状況次第で判断する必要がありますが、決算書などの様子から資産があるならすぐに支払うように求めた方が本当に回収できなくなって困らずに済むでしょう。
商品の引き上げ
商品を販売したときには納品した商品の引き上げをするのが一般的です。督促をした後であれば商品の売買に関する契約の解除を求めると大抵は承諾します。
ただ、既に販売済みで商品が残っていないようなときには回収は不可能です。しかし、在庫が残っていれば商品を引き上げて別の取引先に売れば資金を手に入れられます。
回収できなかった商品分だけ支払いを求めるという形で交渉すると、在庫が十分に残っていればすぐに支払いを受けられる可能性があるでしょう。なお、取引先の承諾なく商品の引き上げをすることはできないので注意が必要です。
差し押さえの執行
何としてでも回収をするためには強制執行をするためのプロセスを経ることが必要です。債権者が強瀬執行をするためには債務名義を取らなければなりません。
その方法として仮執行の宣言を付した支払督促をするのが一般的です。取引先の調査から仮差押えをする資産があると考えられたときには有効な方法です。
支払催促申立書を作成して簡易裁判所に提出すると審査をした上で取引先に送達されます。
そして、異議申し立てがない場合には仮執行宣言申立書に記入して提出すれば仮執行宣言が得られます。この場合にも基本的には送達をしてもらうことで取引先に連絡が確実に届きます。
強制執行をすれば不動産や有価証券、債権などを差し押さえて回収が可能です。
債権譲渡
別の方法として売掛債権を譲渡して解決する選択肢もあります。売掛債権を他社に譲渡して額面通りか、手数料などを差し引いた金額を受け取る方法です。
不良債権の譲渡を受けてくれる会社はまずありませんが、取引先の業績は良いのに支払いに応じてくれずに困っているようなときなら対応してくれる可能性があります。
また、債権回収会社の保証に入っていた場合には回収不能になった時点で債権を譲渡して補償を受けることが可能です。その後は債権の譲渡先の会社が取引先から資金回収を図ることになります。
資金繰り安定化の方法&コツ
債権を持っていても支払いを受けられないと資金繰りに失敗し、事業が滞るどころか倒産するリスクすら抱えることになります。
資金繰りの安定化は事業を継続できる体制を整えることに直結しますが、どのようにしたら資金繰りの確度を高められるのでしょうか。
事前の与信調査
何より重要なのは取引先の与信調査を事前に行っておくことです。財務状況を確認して本当に取引をしても大丈夫なのかを見極めることは欠かせません。
新規取引先の場合には与信調査をしていても、長期的に取引を続けている企業の与信調査は怠りがちです。
しかし、近年では大企業も中小企業も関係なく、資金繰りが苦しくなって支払いができなくなっているケースがあります。安定して経営していた企業がわずかな期間で業績を崩すこともあれば、業績が問題なかったのに取引先が倒産して資金を工面できなくなることもあるのが現状です。
可能であれば売り先の取引先まで与信調査を行って当面のリスクがないことを確認してから契約しましょう。
保証会社の利用
債権譲渡による回収方法でも少し触れましたが、もし資金回収ができなかったときのために保証会社を利用する方法も有効です。
保証料の支払いをするだけで、支払いが遅れたり、督促をしても応じなかったりした時点で債権保証を受けることができます。取引先が倒産したり、夜逃げしたりして回収不能になってしまったとしても損失を被るのは保証会社です。
資金回収に長い月日がかかることもないので安定した資金繰りを行えるようになります。
今すぐ資金繰りを改善する方法は?
既に資金繰りが厳しい状況になってしまっている場合に限らず、普段から首の皮一枚で資金繰りをしている場合には改善をしたいと考えるでしょう。
取引先との契約内容を見直すのは効果的な対策です。その場で現金払いをしてもらう、分割払いにして早めに回収できる分を作る、期間を短くしてすぐに支払いを受けられるようにするなど、契約の改善方法も様々です。
しかし、それでも資金がこのままでは不足してしまう状況に陥る場合もあります。すぐに現金が手に入れられる方法を準備しておき、不足時には速やかに調達して対処できるようにするのも大切です。資金調達方法として一般的な銀行融資では何週間も時間がかかってしまいます。
売掛債権があれば最短即日で資金調達が可能なファクタリングを検討しましょう。売掛債権の譲渡によって資金を調達するのがファクタリングの特徴です。
回収できる可能性が高い売掛債権ならスムーズに買い取ってもらえるので、自社の持っている売掛債権を整理してファクタリングに使いやすい候補をまとめておきましょう。予めファクタリング会社に相談しておくと、どの債権ならすぐに高く買い取ってくれるかもわかるので安心です。
ファクタリングによる資金調達は信用のある取引先の売掛債権があればすぐに申し込みできます。早ければその日のうちに現金が手に入るので、いつでも申し込めるように準備を整えておきましょう。