従業員がまさかの横領!会社としての適切な対応・対処法とは
【記事更新 】
2022/12/06
国内における厳しい経済・社会情勢が各方面から伝えられる昨今、会社だけでなく個人もまた大きなストレスの中で生活することを強いられています。
「貧すれば鈍する」ということわざの通り、そのような状況下においては、各個人の金銭的なモラルもまた低下する傾向にあります。
従業員による横領問題を誘発させかねません。経営者側からしてみれば横領問題は、対応をひとつあやまれば、自社の信用に関わるのはもちろんのこと、自社の資金繰りの悪化にも繋がりかねず、大きな問題です。
そこで今回は、従業員の横領が疑われる場合や、横領が明らかになった場合の対応、および従業員の横領を防ぐための対処方法について解説します。
また、横領問題などによって資金繰りが悪化した場合のファクタリングの利用の提案もしていきます。
従業員の横領が疑われる場合の対応
ここでは、横領が疑われる場合の対処法について解説します。
横領の事実確認と証拠集めをした後、本人に聴取を行う様にしましょう。
横領の事実確認を行う
まずなによりも、事実確認を行うことが大切です。
横領が疑われる段階で先走って行動するのは危険です。
「本当に横領したのか」「いくら横領されたのか」といったことを、まずしっかり確認することが大切です。
解雇や刑事告訴は事実確認が完了してからです。
証拠不十分なまま手続きを進めると、不当解雇や名誉毀損で訴えられる危険性もあるので、横領以外の可能性も含めて事実確認を行うようにしたいところです。
横領の証拠を集める
横領行為を裏付ける客観的な証拠を集めましょう。
ここでいう客観的な証拠とは、会計帳簿や防犯カメラの映像などがそれにあたります。
また、通報者がいるのであれば、その通報者から詳しく聞き取りを行うことも大切です。
この時、通報者の言うことを鵜呑みにしないように、あらゆる可能性を考慮しながら聞き取るようにしましょう。
さらに、SNS等に横領について書いている可能性もあるため、それらへの書き込みを確認するのも一つの手段です。
本人から聞き取りを行う
証拠が集まったら本人から聞き取りを行いましょう。
この時、聞き取りの事前告知はしないことが重要なポイントです。
というのも、告知をしてしまうと証拠隠滅をはかられる危険性があるからです。
聞き取りの際には、録音などで記録をとるようにしましょう。
録音などの記録を残しておかないと、「言った」「言わない」の水掛け論になりかねません。
どのように聞き取りしていけば良いか迷う時には、横領の事実を認めさせることを目的にすると良いでしょう。
従業員の横領が明らかになった場合の対応
従業員が会社から横領していたことが発覚した場合、状況を改善するために取るべき手段がいくつかあります。
ここでは、従業員の横領が発覚したときに何をすべきかを説明していきます。
給料差押え
従業員の横領が発覚した場合、給与の差し押さえが一つの選択肢として考えられます。
横領されたお金を補填するために、賃金の一部を差し押さえる、というわけです。
損害賠償請求
会社の財産が横領された場合、先に損害賠償請求を行うケースが多くみられます。
刑事告訴を先に行い、それによって横領が報道されてしまうと、会社の管理責任を問われるケースもあるためです。
損害賠償とともに慰謝料を一緒に請求するケースもあります。
しかし、横領した人物が慰謝料まで支払える余裕がないことが多いため、横領金のみの回収にとどまるケースがほとんどです。
刑事告訴
従業員の横領を刑事告訴するケースもあります。
横領は、刑法が定めるところの「業務上横領罪」に該当します。
刑事告訴を行うことで、横領された金銭や物品の賠償を受ける可能性が高くなります。
なお、被害者である会社と横領を行った従業員の間で示談が成立するかどうかによって、横領を行った従業員に対して科される刑事罰の重さは変わってきます。
解雇
従業員の横領に対処する最もシンプルで最も効果的な方法は、横領者を解雇することです。
これは、問題に終止符を打ち、そのような行動が容認されないことを他の従業員に明確なメッセージとして送ることになります。
なお、解雇する場合には、就業規則を確認しましょう。
就業規則の解雇事由や懲戒解雇事由に「横領」や「着服」の記載がある場合は、その規定に基づいて、横領を働いた従業員を解雇することができます。
しかし、規則にそのような記載がない場合、安易に解雇してしまうと、解雇権乱用ととられる可能性もあるため、注意が必要です。
従業員の横領を防ぐための対処法
特に従業員数が少ない中小企業では、業務上横領が発生する状況がよくあります。
このような場合、社長は経理担当の役員や社員を信頼し、会社のお金の管理を任せていることがほとんどです。
社長がほとんど帳簿を見ることはなく、一人で会社の資産を扱っている状態が長く続けば、つい魔が差してしまう、そんな状況が起こってしまう可能性も高くなります。
したがって、業務上横領を防止するためには、金銭管理や経理を担当する者を複数にしたり、定期的に担当者を変更することが有効な対処法です
実際、担当者が変わった際に、前任者の横領が発覚したケースもあります。
人手不足で複数担当制や持ち回り制をすぐに導入することが難しい場合は、経営者が率先して帳簿等、会計の出入りを定期的にチェックし、不正が起こりにくい環境を整えることが大切です。
金銭の管理を複数人体制にする
会社における金銭の管理担当が1人だと、横領が起こりやすく、またその横領も見つかりにくい状況になりやすいものです。
金銭の管理を複数人で行えば、横領をしにくい環境になります。
少額であれば「後から返せば良い」という心理も働きやすくなりますし、罪悪感も小さくなりがちです。
そんな少額でも、積み重なってしまうといつの間にか大きな金額になっていることも多々あります。
定期的に担当者を入れ替える
担当者を定期的に入れ替えることで、横領を防ぐことができます。
1人で担当をしている場合、隠蔽も容易です。
しかし、別の人の目が入ることで不自然な部分が見つかる場合も少なくありません。
実際、担当者が入れ替わったタイミングで、過去の横領が発覚するケースもあります。
会社の人的リソースの少なさから、複数人体制にするのが難しい場合には、この担当者入れ替え制の導入を検討してみましょう。
経営陣が帳簿等を定期的に確認する
経理担当者だけが通帳をチェックするのではなく、経営者や他の担当者、あるいは上司が定期的に帳簿等をチェックする体制を構築しましょう。
万一、不自然な経理処理があったとしても、すぐに気づくことができ、大きな損害を被ることがなくなります。
また、定期的にチェックされている環境では、横領などの犯罪も起こりにくくなります。
見られているという自覚があれば、つい魔がさしてしまう、という状況は起こりにくくなります。
そして、より責任ある行動をとろうとする心理が働きます。
そのような効果のためにも、経営陣が帳簿をチェックしているという事実を社内で明確にしておきましょう。
従業員の横領で資金繰りが悪化してしまったらファクタリングで解決
資金繰りは安定した事業経営を行っていくうえで欠かすことができません。
しかしそんな資金繰りが、従業員の横領によって悪化してしまうケースもあります。
そのような予期せぬ事態による資金繰りの悪化という問題を解決する方法のひとつとして、ファクタリングがあります。
ファクタリングを利用することで、売掛債権が即日で現金化できます。
元来、売掛債権は入金されるまで1ヶ月~2ヶ月程度かかるものであり、横領をした従業員からの横領金を回収をするにしても時間がかかるものです。
ファクタリングを利用して、入金を早めることで、突発的に発生した資金繰りのピンチを乗り越えることができます。
また、横領問題などによって資金繰りが悪化したケースにおける、ファクタリング利用も提案しました。
従業員の横領問題は、その確認から対処まで決して先走ることなく、事実や社の規則の確認などをしながら慎重かつ迅速に解決を目指すことが重要です。
また、元から横領が起こりにくい社内の仕組みを構築することも大切です。
それでも、予期せぬタイミングで(横領問題に限らず)様々なトラブルが発生しうるのが会社経営です。
資金繰りのトラブル解決の選択肢のひとつとして、ファクタリングを記憶に留めておきましょう。