資本性劣後ローンとは?メリット・デメリットは?自社に最適な資金調達の選び方も解説

資本性劣後ローンとは?メリット・デメリットは?自社に最適な資金調達の選び方も解説

【記事更新 】

2024/09/17

景気の先行きが不透明な昨今、安定した資金調達は経営の要となっています。

今回は、いま経営者から注目を集める「資本性劣後ローン」について詳しく解説します。

一般的な融資との違いや、メリット・デメリットを押さえつつ、自社に最適な資金調達方法を見つける道筋をお示ししていきます。

【基礎】資本性劣後ローンとは?

まずは資本性劣後ローンの基本をおさらいしましょう。

聞き慣れない言葉かもしれませんが、実は多くの中小企業にとって心強い味方となる可能性を秘めています。

資本性劣後ローンとは

資本性劣後ローンとは、返済順位が他の債務より「劣後」(後ろ倒し)し、金融機関から自己資本とみなされる長期融資のことです。

一般的に5年1ヶ月から20年という長期間で設定されるのが特徴です。主に日本政策金融公庫や商工中金などの政府系金融機関が提供しています。

借入金でありながら、自己資本として扱われるという、一見矛盾するような性質を持つこの融資ですが実は、この特殊な性質が多くの中小企業の財務改善に一役買っているのです。

資本性劣後ローンの特徴

資本性劣後ローンには、以下のような特徴があります。

①貸借対照表上で自己資本として扱われる
②期限一括返済方式で、借入期間中は利息のみの支払い
③金利は当初3年間は固定で、4年目以降は業績に応じて変動

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特徴 詳細
返済方法 期限一括返済
金利 当初3年間:固定
4年目以降:業績連動
貸借対照表上の扱い 自己資本

通常の借入金と異なり、自己資本として扱われる点が最大の特徴です。この特徴により、財務状況の改善が図れるのです。

資本性劣後ローンの対象者

では、誰がこの融資を利用できるのでしょうか。主な対象者は以下の通りです。

新型ウイルス感染症の影響を受けた中小企業
事業の再構築や新規事業に取り組む企業
財務体質の改善が必要な企業

景気の波に翻弄される中小企業にとって、この融資は大きな助け船となる可能性があります。特に、新規事業への挑戦や業態転換を考えている経営者の方々にとっては、検討する価値が高いでしょう。

資本性劣後ローンの基本を押さえたところで、次はこの融資のメリットとデメリットについて詳しく見ていきます。

資金調達の選択肢として、本当に自社に適しているのか、冷静に判断するための材料をご提供します。

資本性劣後ローンのメリットとデメリット

資本性劣後ローンは、中小企業の資金調達において強力な武器となり得ますが、同時にリスクも存在します。ここでは、そのメリットとデメリットを詳しく解説します。

資本性劣後ローンのメリット

資本性劣後ローンには、以下のようなメリットがあります。

自己資本比率が向上し、財務体質が改善される
長期間の資金調達が可能で、資金繰りが安定する
無担保・無保証人で借入可能

特に、自己資本比率の向上は、企業の信用力アップにつながることは言うまでもなく、取引先や金融機関からの評価が上がり、新たなビジネスチャンスや融資の可能性が広がるかもしれません。

また、長期間の資金調達が可能な点も大きなメリットです。日々の資金繰りに追われることなく、腰を据えて事業に取り組めるようになります。

資本性劣後ローンのデメリット

一方で、以下のようなデメリットも存在します。

金利が一般的な融資より高く設定されている
期限一括返済のため、返済時の資金準備が必要(最大のリスク)
適用条件を満たす必要があり、審査が厳しい

中でも、期限一括返済は大きなリスクとなり得ます。返済期限が来たときに、まとまった資金を用意できなければ、経営が立ち行かなくなる可能性があります。

長期的な視点で、返済計画を立てる必要があるでしょう。

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メリット デメリット
自己資本比率の向上 高金利
長期資金調達 期限一括返済
無担保・無保証人 厳しい審査

これらメリット・デメリットを踏まえ、自社の状況に照らし合わせて判断することが重要です。

資本性劣後ローンの申請方法

申請を検討する場合、以下の流れで進めます。

必要書類の準備:商業登記簿謄本、決算書、税務申告書、事業計画書など
相談窓口への申請
審査
融資実行

審査では特に事業計画書が重視されます。単なる夢物語ではなく、具体的で実現可能な計画を立てることが肝心です。

資本性劣後ローンについて理解を深めたところで、次は自社に最適な資金調達方法の選び方について考えてみましょう。資本性劣後ローン以外にも、様々な選択肢がある中で、どのように判断すれば良いのでしょうか。

自社に最適な資金調達方法の選び方

資金調達の方法は多岐にわたります。ここでは、代表的な方法を比較し、自社に合った選択肢を見つけるためのポイントをお伝えします。

資金調達方法の比較

①銀行融資
→低金利だが審査が厳しい

②ノンバンクローン
→審査が比較的簡単だが金利が高い

③クラウドファンディング
→資金調達と同時に宣伝効果も期待できる

と、このようにそれぞれ一長一短がありますので、自社の状況に応じて選択する必要があります。

自社に合った資金調達方法の選び方

最適な方法を選ぶには、以下の手順を踏むことをお勧めします。

資金の必要額と用途を明確にする
自社の財務・信用力を把握する
各調達方法のメリット・デメリットを比較検討する

例えば、急な資金需要に対応する場合と、長期的な設備投資のための資金調達では、適した方法が異なるでしょう。状況に応じて適宜の方法を選ぶ必要があります。

また、自社の財務状況によっては、選択肢が限られる場合もあります。

【耳より情報】ファクタリングという選択肢

ここであまり表に出てこない選択肢として、ファクタリングをご紹介します。

ファクタリングとは、売掛金を早期に現金化できる資金調達方法です。以下のような特徴があります

①審査が比較的簡単で、スピーディーな資金調達が可能
②信用情報に影響せず、黒字倒産を防ぐ効果がある
③売掛金の管理・回収業務の負担が軽減される

特に、資金繰りに窮している場合や、急な資金需要が発生した場合に有効な手段となり得ます。

そもそもこうした急な資金需要については金融機関に「足元を見られるタイミング」といってもよく、思うように資金調達がしづらいのが常とってよいでしょう。

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調達方法 特徴 審査の厳しさ 調達スピード
銀行融資 低金利 厳しい
遅い
ノンバンクローン 高金利 比較的簡単
早い
クラウドファンディング 宣伝効果あり 審査なし
プロジェクト次第
ファクタリング 売掛金現金化 比較的簡単
非常に早い

【今回のまとめ】
数多の選択肢から最善のチョイスをするのが経営者の責務と心得よう
資本性劣後ローンを含め、様々な資金調達方法について見てきました。それぞれに特徴があり、一概にどれが最良とは言えません。大切なのは、自社の状況を冷静に分析し、最適な選択をすることです。

経営者の皆様には、これらの選択肢を「引き出し」として持っておいていただきたいと思います。そして、必要な時に最適な「引き出し」を開けられるよう、日頃から情報収集と分析を怠らないことが肝要です。


最後に、資金調達は経営の一側面に過ぎません。本業の強化あっての資金調達です。どんなに有利な資金調達ができても、それを活かせなければ意味がありません。

資金調達と同時に、事業計画の見直しや新たな挑戦も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

当社では、ファクタリングの最短即日対応も可能ですので、お困りの際はぜひご相談ください。
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