ファクタリング失敗談:「お金が必要で…」債権を二重譲渡してしまった男性の後悔
【記事更新 】
2022/03/22
企業の経営者にとって「お金が必要」という事案は常日頃からついて回る心配です。
そんな時、ファクタリングは早期に売掛金を現金化できるとあって、非常に有効な手立てとなりました。
しかし最近ではお金が必要なあまり、ファクタリング会社に対して不正行為を働いてしまう経営者の方が増えてきています。とても残念なことです。
当社では不正を徹底的に追求・防止するという観点から、様々なファクタリング失敗談を定期的に記事としてお送りしています。
今回も、そのシリーズの一つとして「お金が必要で、という止むに止まれぬ事情があったにせよ、ファクタリング会社に対して債権の二重譲渡をしてしまった男性」の後悔の独白をお届けいたします。
ファクタリング失敗談:「お金が必要で…」債権を二重譲渡してしまった男性の後悔
前提条件として、売掛債権をファクタリングで譲渡できるのは一つの請求書あたり1社のみということをお伝えしておきます。
分かりやすく言うと、例えば中古車を販売する時、1台しか在庫がないのに前払いで2人以上のお客様に車を売ることはできません。これと同じことです。
こういったケースも非常に昨今、多くなってきてはいます。しかし中古車の事例に関して言えば、基本的には詐欺罪で逮捕されるか、損害賠償請求などを起こされるケースが多いということになります。
ファクタリングはこのような事象が起こった時、民事での穏便な解決は非常に難しく、詐欺の罪で逮捕されたり身柄を拘束される事例が割合多い印象です。
ここでご紹介するのは上記のような前提を理解していながらも、ファクタリングの債権二重譲渡に手を染めてしまった男性の独白です。
※現在一部の事案について係争が続いていることから、今回は当社で一部再構成・脚色を加えております。しかし話の本筋には影響がないため、ほぼ事実の独白としてお読みいただければ幸いです。
取引先への支払い、商工ローンの支払いなどに追い詰められて…
私は都内で製造業を営んでいる経営者です。
毎月各種取引先への支払いや人件費の確保・商工ローンへの返済などに追い詰められてしまい…毎月下旬になると胃がキリキリと痛くなるようなことがあったり、あるいはお腹を壊すような日々が続いていました。
ファクタリングで難を逃れたことに味をしめてしまい…
そんな時インターネット広告で「ファクタリング」という資金調達方法があることを発見しました。
ファクタリングは既に請求済みの債権で、かつ入金待ちのものを、いくらかの手数料を支払うことで即座に現金化できるというサービスでした。
もともとうちの会社は多少なり付加価値をつけて高めの値段設定をしていたこともあり…背に腹はかえられぬと、ファクタリング業者に依頼をしてお金を現金化しようとしたわけです。
この時のファクタリングは、結論から言って大成功でした。
手数料も非常に満足のいく水準まで担当者の方が頑張ってくださり、本当にお金が即日で振り込まれてきたのです。
しかも驚くべきことに個人信用情報はチェックされなかったのです。
もちろんファクタリングはお金の貸し借りではないため、個人信用情報のチェックがないことは初めから知っていました。
しかし、実際にチェックされずにお金が手元に来るとなるとやはり「甘い汁」ではありませんが、心がどこかこう、突き動かされたような感じがしました。
この時、良くないことが起こりました。私の手元にいまだ売却済みの請求書があったのです。
悪いとわかりつつ2社目のファクタリング会社に
ところで私の会社は一時的には、資金難をファクタリングによって逃れました。しかしプールがゼロです。つまり、何をしようにもお金がなかったのです。
もう1回だけ、別のファクタリング会社に「初めてのような顔をして」ファクタリングの申し込みをすれば…私の会社はある程度復活できると考えました。
犯罪であることは十分わかっていました。
しかし個人信用情報をチェックしないということは、おそらくバレないであろうこと、そして翌月末に入ってくるお金で2社分のお金を払ってしまえば、誰も損することはないだろうと私は考えました。
そこで2つ目のファクタリング会社に、全く同じ請求書を持って申込みを行ってしまったのです!
そして皮肉なことに(と言っていいかどうかはわかりませんが)、今回のファクタリングも通りました。一通の請求書で2倍の金額が手に入りました。
期限になっても払えるわけもなし!
悪事に手を染めてちょうど一か月。
私は前の月よりもお腹の痛みが酷くなっていました。しかし電話は止まりません。
そうです。ファクタリング会社の両方から刑事告訴を行うと詰められていたのです。
私の見通しが甘かったのでしょう。なんとあろうことか、一つ目のファクタリング会社にすら入金ができませんでした。
2社目に払うお金なんて、もはや1万円もありません。私の財布には6,598円しか入っておらず、どうにもならない状況だったというわけです。
従業員の一部にも給料が支払えず、役員や正社員で職歴の長い人には事情を説明して給料を待ってもらうという体たらくでした。
結果的に私は両方のファクタリング会社から刑事告訴と民事両方で訴訟を起こされ、現在係争中となっています。
刑事告訴の部分については警察が本当に電話やお迎えをよこしてきたため、私は迎えに来たエルグランドに乗り、警察署で事情を説明し、悪意は無かった事を必死に説明しましたが、処遇についてはまだ決まっていません。
ニュースの報道などを見る限り、後日逮捕される可能性もあるということで、現在は証拠隠滅などを行わずただただ警察の判断を待っているばかりです。
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(※編集部注:本記事公開日現在、この男性とは連絡がついておりません。事前にお預かりした体験談をもとに、当編集部で記事の公開を判断いたしました。)
ファクタリングで債権を二重譲渡した時に起こること
ファクタリング二重譲渡した時に起こることは、先ほどの男性の独白で十分にご理解いただけたと思います。
ここで改めて、二重譲渡した際に起こりうることについて解説していきます。
支払いできない
まず支払いができなくなります。2倍の資金を手にしたとしても戻ってくる、つまり実際に入金されてくる金額は、手に入れた金額のおよそ1/2です。
他で資金が手に入る目処が立っていればまだ救いもありますが、多くの場合、払えないという方向に進みます。
詐欺罪に問われる危険性
ファクタリング二重譲渡は、ファクタリング会社から詐術を用いて金品をだまし取ったとみなされる可能性が極めて高く、この場合詐欺罪に問われる可能性もあります。
その他、業務上横領罪、偽計業務妨害罪など他の罪状で警察の捜査を受ける可能性もあり、実際に逮捕された事例を見る限りは業務上横領罪での逮捕というケースも多い印象です。
取引先への通知
取引先に対して、通知や請求の類が行われる可能性が極めて高いと言えるでしょう。
この場合はそもそもファクタリングを利用していたこと、そして「架空債権」と言っても過言ではない二重譲渡を行ったことが、相手先に通知されてしまいます。
これによって被る損失や損害は計り知れません。
少なくとも狭い業界であれば、今後の事業活動にも致命的な影響を及ぼすでしょう。
【最悪のシナリオ】自社の倒産
上記を踏まえた最悪のシナリオとして考えられるものは、自社の倒産です。
信用が落ちると上述の通り、仕事が無くなることは目に見えています。また社長が逮捕・身柄の拘束を受けた場合、従業員は事情がどうであれ離職する可能性が極めて高いと言えるでしょう。
上記二つの要素から鑑みると、自社の事業が立ち行かなくなり倒産する可能性が高いというわけです。
その他、取引先から破産申立を受ける可能性もあります。この場合は自社の状況がどうであれ裁判所が管轄となり、ある程度の強制力を持って会社の倒産・破産に進んでいくこととなります。
この通り、ファクタリングの二重譲渡とは明確に犯罪です。逮捕される可能性もあります。
その他、会社が倒産する可能性も否定はできないでしょう。ということでファクタリングは絶対に二重譲渡としてはいけません。
当社も不正行為については躊躇せず警察や関係各機関へ通報を行います。
当社を筆頭に、健全なファクタリング会社各社も可能な限り「経営者の方のお力になりたい!」という考えを持っています。
しかしその一方でお客様が不正行為を行った場合には、厳正なる対処を行う必要があります。
十分にご注意の上、ファクタリングをお申し込みください。
なお、一般的な売掛債権について、当社では最短即日でのファクタリングに対応しております。
個人信用情報のチェック、税金の払込状況のチェックなど、一般的な金融機関の審査とはまた別の軸にて査定を行います。
自社の経営状態が心配な方も、まずは一度当社までご相談ください。