ファクタリングに金利はない!手数料と呼ぶのはなぜ?

ファクタリングに金利はない!手数料と呼ぶのはなぜ?

【記事更新 】

2022/04/26

ファクタリング利用を検討したことがある方なら、「なぜお金を貸し付けているのに、金利ではなく手数料という言い方をするのか?」と疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。

今回の記事では、ファクタリング利用時にかかるお金が「金利」ではなく「手数料」である理由を、法的根拠を元に解説します。

また、仮にファクタリングの手数料を金利として計算したときの、他の融資の金利相場との比較を紹介します。最後に、ファクタリング手数料の仕訳の方法を、2社間・3社間ファクタリングそれぞれで説明します。

ファクタリングは金利ではなく手数料なのはなぜ?

そもそも、ファクタリング事業は貸金業ではなく、売掛債権の譲渡行為に属します。

金利とはお金を借りた際に、借りたお金に対して支払う利息のことを指した言葉です。

ファクタリングは融資ではありませんので、ブラックリストや全銀協に遅延情報があるような金融ブラック状態でも、極論、ファクタリングは利用できます。

ファクタリング手数料の法的根拠は?

ここからは、ファクタリング手数料の法的根拠を説明します。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリング、それぞれの場合を順に解説していきます。

2社間ファクタリングの場合

2社間ファクタリングの場合は、売買についての民法第555条が法的根拠となります。

民法第555条の条文は以下の通りです。

民法第555条(売買)
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

このように、民法では売掛債権は財産権、すなわち「自由に譲渡できる財産」のことです。
そのため、売掛先に通知せずに売掛債権、およびそれに関連するものを売買することも問題ないということになります。

3社間ファクタリングの場合

3社間ファクタリングの場合は、「債権の譲渡性についての民法第466条」と、「指名債権の譲渡の対抗要件についての民法第467条」が法的根拠となります。

民法第466条および第467条の条文は以下の通りです。

民法第466条(債権の譲渡性)
債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

民法第467条(指名債権の譲渡の対抗要件)
指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

民法第466条によって、(売掛債権のような)債権を譲渡することが法律によって許可されていることがわかります。

さらに、民法第467条では、債権の譲渡においてトラブルの発生を防ぐため必要なことが記されています。

その1つが、「ファクタリングの利用者から債務者(売掛先)への債権譲渡の通知」をすることです。それに加えて、「債務者(売掛先)の承諾」(ファクタリングを利用することを売掛先に認めてもらうこと)も必要と明記されています。

最後に、「債権譲渡登記などの、確定日付のある証書」も必要だとわかります。

ファクタリングを金利換算すると?

ファクタリングと融資それぞれに関して、手数料・金利を比較してどちらを利用するか考えたい人もいるのは想像に難くありません。

そこで、ファクタリングに金利は存在しませんが、以下の項目でファクタリングの手数料を金利換算してみます。

【そもそも】ファクタリングの手数料相場

2社間ファクタリングは10%〜30%程度、3社間ファクタリングは1~10%程度が手数料の相場となります。
高すぎる手数料はファクタリングの皮を被った闇金の可能性もあり、その点については金融庁でも注意喚起されていますので十分な注意が必要です。

金利は年利で計算されますが、ファクタリングの契約は1回毎の手数料となります。

ファクタリングに手数料がかかるのは売掛金回収までのため、便宜上1ヶ月で手数料分の利息がかかるものとし、月利換算とします。

融資と比較

ここからは、ファクタリングの手数料と、融資の金利を比較してみます。

ファクタリングと比べると融資の方が安いことがわかりますが、これは貸金業法での規制があるためです。

政府系金融機関からの融資と比較

まず政府系金融機関の融資を、一般貸付の場合で比較してみましょう。

・担保なしの場合:2.16~2.55%
・担保有りの場合:1.21~2.20%

政府系金融機関からの融資は、審査は厳しいですが金利は相当安く抑えられます。
銀行融資と比較

次に、銀行融資の相場と比較します。

・銀行融資:1%台~14%

一口に銀行融資と言っても、契約内容によって信用の差がかなりあり、手数料にも振れ幅があります。銀行融資の初回金利は14%、ということも珍しくありません。
カードローンと比較
カードローンは、会社によって金利はかなり差があるのが現実です。

おおよそ5~18%程度と言えますが、カードローンは審査が緩めなことが多く、その代わりに金利は高めに設定されています。

【確定申告】ファクタリング手数料の仕訳は?

「ファクタリング契約したのは良いものの、手数料の仕訳はどうすればよいのかわからない」という悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

ここからは、ファクタリングの手数料の仕訳について解説します。ファクタリングの種類によって仕訳方法が異なりますが、今回の記事では簡易的な解説にとどめています。

確定申告時のファクタリング手数料の仕訳について、詳しく解説している記事もございますので、そちらもあわせてご覧ください。

2社間ファクタリングの場合

2社間ファクタリングの場合、ファクタリングによる支払い総額は手数料を引いたものとなります。2社間ファクタリングの手数料は、「支払い総額−本来の支払い額」の計算式で算出可能です。

このようにして算出した手数料を、「売上債権譲渡損」として計上します。

もともとの請求書の金額は売上として仕訳しても問題ありません。
したがって、2社間ファクタリングを利用したことで売上が下がるということは起こりえません。

3社間ファクタリングの場合

3社間ファクタリングの場合は、通常の売掛金の処理と同じように、まず売上と売掛金を仕訳します。

ファクタリング会社と契約した時点で、売掛金を消して一旦未収金として計上しましょう。ファクタリング会社からの入金があれば、手数料を「売上債権売却損」として計上します。

3社間ファクタリングの場合だと、実際に現金が手に入るまでには数日がかかるため、2社間ファクタリングとは異なった仕訳が必要となります。

【今回のまとめ】
ファクタリングは金利なし&手数料のみ!適切な仕訳を
今回の記事では、ファクタリングの手数料について詳しく解説しました。

まず、2社間ファクタリングは民法第555条、3社間ファクタリングは民法第466条と民法第477条によって法的に根拠のある手数料であることを示しました。

続いて、ファクタリングの手数料を金利換算して、政府系金融機関、銀行融資、カードローンと比較しました。

そして最後に、確定申告時のファクタリング手数料の仕訳にも触れました。

2社間ファクタリングの場合は売上債権譲渡損、3社間ファクタリングの場合は売上債権譲渡損として手数料を計上します。

法的根拠から仕訳方法までを整理して、適切にファクタリングの利用を行ってください。
弊社は事業者様と共に
ファクタリングサービスを通じて
社会へ繋がっていきます。