厚生年金の滞納で差押の危機?!差押の回避・対処方法を紹介
【記事更新 】
2023/04/11
厚生年金(社会保険料)は「労使折半」と言い、事業主と従業員が半分ずつ保険料を負担するものですが、最終的な納付義務を負うのは事業主側です。
しかし、事業主側が様々な理由で、社会保険料を滞納することがあります。この場合、どのような影響が出るのか、差し押さえを回避し、滞納を解消する資金繰り方法についてご紹介いたします。
厚生年金を滞納すると起こる6つのこと
厚生年金(社会保険料)を滞納すると、どのような事が起こる可能性があるか、6つのケースに分けてご紹介します。
なお、厚生年金を滞納しても、原則として従業員にすぐ不利益が生じるわけではありませんが、早期の滞納解消が望ましいでしょう。
1.延滞金が発生する
保険料の滞納により、延滞金が発生し、その支払いが請求される可能性があります。
延滞金の計算方法は、納付期限から3ヶ月を経過するかしないかでその利率が変わり、また年度によっても利率が変動します。
また、納付期限までに納付がないと督促状等が発送されます。
2.督促状が発送される
厚生年金(社会保険料)が納付期限までに納付されず、日本年金機構側で確認できないときは督促状が発送されます。
これは原則事業所に届くため、督促状等が従業員の目に入ると事業所が社会保険料の支払いをしていない事実が知られるところになります。
3.訪問される
督促状や電話などで納付をするよう督促を受けても支払いがない場合、事業所などに年金事務所などの職員が訪問することがあります。
この場合は、納付についての指導が行われます。
4.財産調査が行われる
厚生年金の滞納が続くと、保険料の回収のため滞納処分が始まります。
滞納処分の流れの一つに財産調査があり、財産調査では預金残高が調べられるのはもちろん、取引先にも売掛金がないか調査が入ります。
つまり、銀行や取引先に保険料を滞納していることが伝わってしまいます。
また、場合によっては捜査が行われるケースもあります。
5.差し押さえが実行される
財産調査により換価できる財産があると、差し押さえが実行されます。
「差押予告通知書(差押予告書)」や「最終催告書」などが届き、最終的に財産の差し押さえとなります。
6.懲役または罰金を課される可能性がある
健康保険法第208条によると正当な理由なく保険料を納付しない場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金、という規定があります。
財務調査などの調査に協力しない場合や、厚生年金に関する情報の報告を怠った場合も、懲役や罰金が課される可能性があります。
厚生年金の滞納:差し押さえによるデメリットは?
厚生年金(社会保険料)の滞納により、差し押さえを受ける可能性があります。
では、差し押さえによりどのような影響が出る可能性があるか、解説します。
金融機関からの融資が打ち切り・一括返済になるリスク
差し押さえが実行される際は、金融機関に差し押さえを実行する通知が行くため、金融機関に差し押さえされた事実が知られます。
つまり、会社の収支状況がよろしくないことが金融機関に伝わり、融資を断られたり、借り入れがある場合は一括返済を請求させれる可能性があります。
また差し押さえだけでなく、財産調査等を受けると融資を断られる可能性があります。
取引先からの取引中止・停止リスク
財産調査や差し押さえが取引先に対しても実行されると、社会保険料をかなり未納していることが露呈してしまいます。
また、取引先の売掛金が差し押さえの対象となると、取引先にも「調査に返答する手間」が発生するなど迷惑をかけることに。
このような事情から取引を中止したり、今後一切の取引を行わないと通達される可能性があります。
従業員が離職してしまうリスク
督促や財産調査、差し押さえにより、社会保険料の滞納が従業員にも知られる可能性が高くなります。特に、財産調査や捜査が入ると、高い確立で滞納が露呈します。
そうなると、事業者に対する信頼度が下がり、不信感をもった従業員が離職する可能性があります。
社会保険料は従業員の年金、健康保険証にも関係する重要な支払いですから、従業員もそれが支払われていないとなると不安を覚えるでしょう。
また、社会保険料だけでなく、労働保険料や住民税の支払い、さらには自分たちの給料もちゃんと支払われるか疑いの目を持たれる可能性があります。
厚生年金の滞納で財産調査や差押を回避する方法は?
財産調査や差し押さえは、事業者にとってかなりの痛手になります。
では、滞納による財産調査や差し押さえを回避する方法についてご紹介します。
日本年金機構に支払いの相談をする
まずは日本年金機構に支払いについて相談をします。支払いができないからと言って、連絡を放置したままでいると財産調査に進む可能性があるため、連絡がつかない状況は避けましょう。
また、厚生年金を払いたくても払えない場合は、納付や換価の猶予の制度を利用できる可能性があります。例えば、換価の猶予が認められると、社会保険料を各月分割で納付が可能です。
換価の猶予を申請する
厚生年金を支払えない場合、換価の猶予を申請し、認められると分割での納付ができます。
猶予期間中は延滞金の一部が免除され、差し押さえも猶予されます。
ただし、細かい条件が設定されています。その一例をご紹介します。
1.厚生年金保険料等を一時に納付することにより、事業の継続等を困難にするおそれがあると認められること。
2.厚生年金保険料等の納付について誠実な意思を有すると認められること。
3.納付すべき厚生年金保険料等の納期限から6か月以内に申請されていること。
4.換価の猶予を受けようとする厚生年金保険料等より以前の滞納又は延滞金がないこと。
5.原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること
▲:10.pdf (nenkin.go.jp)より引用
納付が困難な場合には、できるだけ早く管轄の年金事務所へ相談しましょう。
滞納分を支払う
差し押さえや財産調査を回避するには、滞納している保険料を支払い、滞納を解消すれば財産調査や差し押さえを回避できるでしょう。
滞納がなければ、督促も財産調査も差し押さえもありません。
もし、まとまった入金があるなどで支払いの目処があれば、年金事務所の担当者に支払い予定日を伝えましょう。
厚生年金の滞納を解消する資金繰り方法はある?
厚生年金の滞納は、従業員や取引先、銀行などから信用を落としかねません。そのため、厚生年金を滞納しそうだ・滞納してしまった場合は早急に対処し、財産調査や差し押さえを回避したいものです。
ただし、この際ネックになるのが資金繰りではないでしょうか。
事業形態によっては、売上があっても入金されるまで時間がかかるなど資金繰りに難儀するケースがあります。
この時おすすめなのがファクタリングです。ファクタリングは、売掛債権を最短即日で現金か、つまり資金調達が可能なサービスです。
保険料の納付期限まで時間が限られている、なんとかして社会保険料を支払いたい。このような時に、ぜひファクタリングをご検討ください。
ファクタリングは売掛債権の売買ですので、融資や借り入れではありませんし、個人信用情報の審査もありません。
しかし、換価の猶予や資金繰りにより滞納の対処ができれば、財産調査や差し押さえを避けることも可能です。
また、納付期限までの資金繰りにお困りの際はぜひファクタリングをご検討ください。当社では最短即日でファクタリングのご利用も可能です。